すっかり涼しくなり過ごしやすくなりました。
秋が深まってきたのを感じます。
名古屋市名東区
牧会計事務所の佐藤です。
今回は題名の通り
2020年から始まる税制改正で給与所得控除の変化を紹介いたします。
税制改正は、毎年夏から変更点が議論され、翌年3月に税制改正法案が成立します。
その適用開始は一律ではなく、
「その年の4月から」、「翌年の4月から」、「翌年の1月から」と一定ではありません。
毎年のように税制改正はおこなわれておりますが、
施行時期は一定ではなく、4月からや1月からとバラバラです。
2020年の施行は1月からになります。
来年度税制改正の要点
・所得税計算の基礎控除額が48万円に引き上げ(合計所得金額が2400万円以下の方の場合。改正前の基礎控除は所得に関わらず一律38万円)
・合計所得が2400万円を超えると、所得税の基礎控除は段階的に減少し2500万円超では控除0になる。
・給与所得控除額を一律10万円引き下げ(給与所得850万円まで)。
850万円を超えると控除額は195万円に(従来は1000万円超は220万円の控除)
所得税計算で用いられる基礎控除額は、
改正前は一律38万円でしたが、改正後は下記のようになります。
2400万円以下の合計所得の方は控除額が増えます。
逆に2400万円を超えると段階的に減少し、
2500万円を超える方は、基礎控除額が一気に0になります。
給与所得(給与所得の源泉徴収票の支払額)の控除は、逆に控除額が一律10万円引き下げられます(給与所得850万円以下の場合)。
従来の給与所得控除は給与所得1000万円まで段階的に上昇していましたが(控除の上限220万円)、
下記表の通り、上限額が引き下げられます。
上記をまとめますと、
給与所得者で給与所得(給与所得の源泉徴収票の支払額)が850万円以下の方は、
基礎控除額は10万円上がりますが、給与所得控除額は10万円下がるため、実質的な影響はないと考えられます。
しかし850万円超2400万円以下の給与所得を得ている方は、
基礎控除額(前年比+10万円)と給与所得控除額(前年比-25万円)を合わせて、前年度より-15万円の控除額となり、
所得税計算において不利になります。
2500万円超の給与所得者は
基礎控除額(前年比-38万円)、給与所得控除額(前年比-25万円)合わせて、前年度より-63万円の控除額となります。
所得税計算において中々大きな額です。
多額の給与所得を得ている方は負担が増大します。
一方、
所得税に関する基礎控除額が上がるため、給与所得以外からの所得が多い方は有利になります。
フリーランスで生計を立てている方等は税金が安くなります。
今回の税制改正は、所得が多い人の税負担を増やし(特に給与所得者)、
所得の高くない方や、自営業者に対する税負担を抑える方向の改正と思われます。
個人的な考えですが、今後この流れはますます進むのではないでしょうか。
経営者に限らずサラリーマンの方も、
毎年行われる税制改正の動きを注視していく必要がありそうです。