2019年11月13日 10:14 am

名古屋市名東区

牧会計事務所の佐藤です。

 

 

 

 

最近インボイス制度(適格請求書等保存方式)について尋ねられることが多いです。

 

聞いたことはあるけど、具体的にどんな制度なのか、どのような影響があるのか詳細は知らないという方が多いみたいですね。

分かり易く解説していきたいと思います。

 

 

 

 

インボイス制度は端的に表すと、

税務署が認定した事業者の発行する、請求書・領収書等に特典が与えられる制度です。

逆に認定外の事業者は

とてつもない逆風にさらされる制度

になります。

 

 

しばらくは経過措置による救済がありますが、その期間が終わると、

ほぼ全ての事業者が適格請求書発行事業者になっていくでしょう。

 

 

 

<対象>
インボイス制度の対象は消費税課税事業者ですが、登録事業者になる事は義務ではありません。

 

消費税の納付が義務でない消費税免税事業者(課税売上高が1000万円以下の事業者)は、
課税事業者になる必要があります。

 

 

基本的に申請すれば受理・登録は問題なくされるようですが、

登録拒否の要件として
「消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行終了後2年を経過していない事業者」
このようにあります。

 

 

ほぼ全ての人が問題ないと思います。。

 

 

 

 

<開始時期>

インボイス制度は2023年(令和5年)10月から開始されます。
また、インボイス制度対応事業者(適格請求書発行事業者)の届け出は2021年(令和3年)10月から始まります。

2023年3月末までに届け出を行う必要があります。

※2023年3月末以降でも「届け出が困難だった理由」があれば提出、認定を受ける事が可能です。

また、それに伴う経過措置も設けられています。後程ご紹介いたします。

 

 

 

 

<内容>
インボイス事業者(適格請求書発行事業者)以外の事業者が発行する請求書・領収書等は、
消費税計算の際の、税額控除の対象になりません。

 

課税売上高1000万円以下の事業者は、消費税の納付義務がありません。
しかし1000万円を超える事業者は消費税を納付する必要があります。

簡易課税制度を選択していなければ、消費税の納付額の計算は大まかに下記の式で行う必要があります。

 

 

売上時にかかる消費税(仮受消費税) - 仕入等にかかる消費税(仮払消費税)
=納付消費税額

※諸事情、諸条件は一切考慮していません。あくまで大まかな目安の式とお考え下さい。

 

 

このとき後者の、仕入等にかかる消費税(仮払消費税)はインボイス制度が始まると、
適格請求書発行事業者の分しか対象になりません。

 

 

例にしてみます。

 

 

(現在)
売上5500万円、仕入等4400万円の事業者の場合
※税込。全て課税売上、課税仕入。諸条件は考慮しない。

 

税込み経理では、売上5500万円の中には500万円の消費税(仮受消費税)が含まれます。
また、仕入等4400万円の中には400万円の消費税(仮払消費税)が含まれます。

 

500万円(仮受消費税) ― 400万円(仮払消費税)= 100万円

 

100万円が納付消費税額となります。
※計算は大まかなものになります。諸条件で変わります。

 

しかし、インボイス制度が導入されますと、、、、

 

 

 

 

(インボイス制度導入後)
売上5500万円、仕入等4400万円
※税込。全て課税売上、課税仕入。諸条件は考慮しない。

 

上記に加え、もし、仕入等が全て適格請求書発行事業者のものではなかった場合。

 

従来は
500万円(仮受消費税)-400万円(仮払消費税)
となりますが、インボイス制度後は400万円分は認められません。

 

認定事業者が発行した領収書等の消費税しか控除できません。

そのため、500万円まるまる納付しなければなりません。

実にこの例では400万円も損をしてしまいます。

 

 

この例は極端ですがお分かりの通り、
インボイス制度開始後は、認定事業者以外が発行する領収書等は避けられるようになると思います。

 

 

 

先にも述べましたが、
課税売上高が1000万円以下の事業者は消費税の納付の必要はありません。
しかし適格請求書発行事業者になるには、消費税を納付する課税事業者になる必要があります。

 

課税売上800万円、課税仕入300万円の免税事業者が課税事業者になると、
今までは消費税納付額が0円だったのに、50万円納付する必要があります。

※諸条件なし。あくまで大まかな計算です。

 

 

課税売上高が1000万円以下の事業者は大きな選択を迫られます。

 

今まで払わなくてよかった消費税を納付して課税事業者となり認定事業者になるか、
認定事業者にならず、今まで通り消費税は免税だが、発行する領収書等は認定外の為、ビジネスに支障が出てしまうか。

 

 

 

また、経過措置ですが
認定事業者以外が発行する領収書等の消費税分も、下記の割合のみ消費税計算の控除対象となります。

 

 

2023年10月~2026年9月・・・・80%
2026年10月~2029年9月・・・・50%

 

 

課税売上1000万円以下の個人事業主や小規模事業者の方は、

 

 

 

2023年3月までにインボイス制度の認定を受けるかどうか、

自身の事業形態や実態を鑑みて、
慎重に判断いただきたいと思います。

 

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