本格的に梅雨に入りました。
名古屋市名東区、牧会計事務所の佐藤です。
税法でも解釈により条文の意味・捉え方が変わる事があります。
法律の勉強をしていると、解釈の違いに戸惑う事があります。
今回は様々な「解釈」のご紹介をしていきます。
一休さんで有名な「このはしわたるべからず」のお話をご存じの方、多いと思います。
ある橋の前に「このはし、わたるべからず」という立札がありました。
しかし一休さんは、平然とその橋を渡りました。
彼が言うには、「端を渡らず真ん中を歩いたから、立札には違反していない」というものでした。
目の前に渡れる橋があるのに、渡っていけないというのはおかしい。
だから「このはし」は橋でなく端っこと解釈すべきだ、といったところでしょうか。
解釈には以下の種類があります。
・文理解釈
言葉の通常の意味に従って、文法通りに解釈する。
「このはし(橋、端)は渡ってはいけない」
・論理解釈
論理的に言葉に意味をつける。
「人間はこの橋を渡ってはダメだが、人間以外でも重い物は通ってはダメなんだな」
・類推解釈
直接規定する決まり(条文等)がない場合に、他の同種の決まり(条文等)を参考にする(類推して適用する)。
「人間がだめなら馬や牛も似たようなものだからダメだろう」
・反対解釈
直接規定されていない決まりを否定して解釈する。
「人間が歩いて渡るのはダメだが、馬や車なら渡っても良いのだろう」
・拡大解釈
言葉を通常の意味以上に広げて解釈する。
「人間は生き物である。生き物は何であっても通ってはならない。」
・縮小解釈
言葉を通常の意味より狭めて解釈する。
「人間の中でも体重が軽い子供なら渡っても大丈夫だろう」
・勿論解釈
ある規定の趣旨から見て、明文の規定はなくても、それと同趣旨の規定があると解釈することが当然の場合の解釈
「人間が渡ってはならないのなら、さらに大きい馬車や馬ももちろん通ってはならないのだな」
・変更解釈
言葉を多少変更した意味にとって解釈する。規定の制定時と現状があまりにも変わってし まった場合に行われる。
「この橋も渡ってはダメだが、似たような隣の橋も渡ってはいけないのだな」
一休さんの例でいうと、
文理解釈ではなく論理解釈や類推解釈が妥当であると思います。
橋の目の前に「このはしわたるべからず」と書かれていたら、
「端」ではなく流石に「橋」と解釈するのが妥当でしょう。
(多くの人が「橋」と解釈したため、皆一休さんの行動に驚いた。「橋」と解釈する方が一般的な感覚である証拠)
しかし、法律では文理解釈が大原則です。
たまに地裁や2審で文理解釈以外の解釈がなされる事がありますが、
最高裁で正されます。
文理解釈は一休さんのとんち話のように、
文字通りに決まり事(条文)を解釈します。
法律は下手な解釈をせず真っすぐ素直に読み込むことが大切ですが、
文理解釈の中にも一定の常識や、他の解釈の組み込みも必要という事です。
税法ではありませんが、日本でも裁判員裁判が導入され、
法律がより身近になってくると思います。
上記の解釈を今後のご参考に願います。