2021年2月5日 12:00 pm

2月に入り、確定申告のシーズンが近づいてきました。

名古屋市名東区、牧会計事務所の佐藤です。

 

近年、個人の方でも「投資」をする方が数多くいらっしゃいます。

NISAなど、投資をすることによるメリットが設けられたことも後押ししていると思いますが、

老後や将来の不安から、自身で資産の形成を行わなくてはならないという意識の表れなのかもしれません。

 

投資にも様々な種類があります。

株式、不動産、外貨預金、社債、はてはビットコイン等仮想通貨。

種類により、リスクやリターンの期待値が大幅に変わりますが、

今回は最も一般的であろうと思われる「株式投資」について、少しでもご参考になるような知識をご紹介いたします。

(※ご紹介する内容は、あくまで「一般的に」言われている知識です。実際の投資に対して必ずしも正しく作用するとは限りません。)

 

企業の状態を表す指標は様々あります。

代表的なのはROEとROAでしょう。

(近年では他の指標の方が、より適切に企業の状態を表すことが出来るとして、少し時代遅れになっているようですが、、)

 

ROE … 自己資本利益率(Return on Equity)

自己資本に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す。

計算式: ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

 

ROA … 総資産利益率(Return On Assets)

会社が持っている資産を利用して、どの程度の利益を上げているかを示

す。

計算式: ROA(%)=当期純利益 ÷ 総資産 × 100

 

企業が利益(お金)を稼ぐためには、元手となる資金が必要です。

両者とも、資本・資産に対して、どれくらいの利益を稼ぐことが出来たのかという指標になります。

この数値が高ければ高いほど、資産を有効に活用出来ている優良な企業となります。

 

ROEとROAは分母に大きな違いがあります。

ROEは自己資本であり、ROAは総資産です。

 

そのため、ROEは数値が高いからと言って、必ずしも優良企業であるとは言えません。

大きな要因は、借入を考慮に入れていないためです。

 

例えば、

自己資本(資本金)1億円

当期純利益 1,000万円

この場合ROEは10%となります。

 

しかしこの会社の借入金が仮に10億円あったらどうでしょうか。

借入で得た10億円を利用して利益の1000万円を得たと推測されますが、

分母が自己資本で固定されているため、ROE数値は借入を行えば行うほど上昇すると考えられます。

また、自社株買いを行えば、自己資本を減らすことが出来るため、これもROEの上昇に繋がります。

 

対してROAを見てみると分母が総資産です。

自己資本が1億円で借入が10億円あろうと、

保有している資産に対する利益割合がROAとなります。

保有している資産の源泉は問われません。

ただし、当該借入が利益を生み出すことに役立っていない場合、分母である総資産が膨れ上がる為、ROA数値は低下します。

この場合、借入金を返済する事でROAは上昇します。

 

以上から、ROEとROAではROAの方が比較的正しく企業の状態を表していると考えられます。

ただし、ROAは総資産に対する利益を表すため、

資産が多くなる傾向にある製造業と、資産をあまり必要としない、例えばコンサル業との比較には使えません。

前者ではROAは低くなりがちで、後者では高くなる傾向にあります。

異業種間の比較には使用し辛いというデメリットがあります。

 

今回はROEとROAの解説を簡単に行いました。

 

株式投資を行う際に、少しでもご参考にいただければと思います。

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