すっかり春らしい陽気になりました。
名古屋市名東区、牧会計事務所の佐藤です。
今回は、4月から公募が始まっている大型施策、
「事業再構築補助金」についてご紹介いたします。
事業再構築補助金は、
中小企業向けの補助金として新たに設立される予定の制度であり、
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って事業モデルの転換や感染防止に取り組む中小企業に対して、転換にかかる費用の3分の2を補助し、1社当たり100万~1億円を給付する補助金です。
「貸付」ではなく。返還の必要が無い「給付型」の補助金です。
※費用は支出を確認した後に支払われます。
事業再構築補助金の総予算は業態転換支援には1兆円1,485億円が確保されています。
また、採択件数は5万5千件を見込んでいる大型の施策になります。
※第一回の締め切りは4月末ですが、次回第2回の締め切りは5月を予定しており、全部で5回程応募期間があります。
事業再構築補助金
事業再構築補助金 (jigyou-saikouchiku.jp)
<主要申請要件>
・売上が減っている
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。
・新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。
認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する。
・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。
<補助率>
・中小企業
補助額 補助率
通常枠 100万円~6,000万円 2/3
卒業枠 6,000万円超~1億円 2/3
その他、
より早期の事業再構築が必要な企業には、緊急事態宣言特別枠、
中小企業から中堅・大企業へと成長の後押しをする枠として、卒業枠等が設けられています。
<申請手順>
・最初にGbizIDへの登録が必要です。
・事業計画書を策定する(様式自由。15P以内)
補助事業の具体的内容
将来の展望
本事業で取得する主な資産
収益計画
・認定経営革新等支援機関による確認書
事業計画書の作成に当たり、認定経営革新等支援機関との相談が奨められています。
・決算書類(直前2期)
・コロナ以前より売り上げが減少したことを示す書類。
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少
・ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報
作成手順は下記URLから。
上記資料を作成・提出します。
<事業計画書の作成ポイント>
「事業再構築」とは、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」又は「事業再編」の5つを指し、
申請のためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を作成します。
【新分野展開】
(例)
宿泊施設や観光施設などの事業施設向けの建設業を営んでいたが、コロナにより業界全体が業績不振
↓
新たに需要が増しているアクリル板などのプラスチック加工製品の製造に着手
(例2)
航空機部品を専門に製造していた製造業者が、コロナにより需要減少
↓
新たに需要が見込まれる半導体関連部品の製造に着手
① 製品等の新規性要件を満たしている。
② 市場の新規性要件を満たしている。
③ 3~5年の事業計画期間終了後、製品の売上高が総売上高の10%以上となる事。
全く新しい分野に進出する計画書が必要になります。
【事業転換】
(例)
観光バス事業を展開する事業者が、インバウンド需要の低下により収入が減少
↓
新たに利用者が見込まれる高齢者施設向けの送迎サービスを開始
(例2)
金属加工業を展開する事業者が、コロナの影響により自動車部品の需要が減少
↓
これまでの金属加工技術を応用し、新規事業として産業用ロボットの製造を開始
① 製品等の新規性要件を満たしている。
② 市場の新規性要件を満たしている。
③ 3~5年の事業計画期間終了後、事業転換した事業の売上高構成比が最も高い事業となる。
たった数年で、事業転換した事業の売上が会社の柱となる必要があり、ハードルが高いものとなっています。
【業種転換】
(例)
トラックによる輸送業を営んでいたが、コロナの影響による食材等の需要の減退で輸送量が減少
↓
これまでの事業で生産者と繋がりがあった食料を用いたメニューを共同で開発し、飲食店を開業
(例2)
宿泊業を営んでいたが、コロナの影響により出張や旅行の機会が減少したことで利用客が激減
↓
在宅勤務者等をターゲットとして、旅館の客室の大半をコワーキングスペースに改修し、新たに運営を行う
① 製品等の新規性要件を満たしている。
② 市場の新規性要件を満たしている。
③ 3~5年の事業計画期間終了後、転換した業種の売上高構成比が最も高くなる。
【業態転換】
(例)
アパレルショップを経営していたところ、コロナの影響で実店舗での売上げが減少
↓
ECサイトや注文管理システムの構築、店頭販売からの誘導等によりネット販売を新たに開始
(例2)
美容室を経営していたところ、コロナの影響により利用客が減少し、売上が大幅に減少
↓
店舗を縮小し、外出の機会を減らしたいと考える利用客や、移動が難しい高齢者向けに、訪問美容サービスを新たに開始
① 製品方法等の新規性要件を満たしている。
② 商品等の新規性要件又は設備撤去等要件を満たしている。
③ 3~5年の事業計画期間終了後、業態転換したサービスの売上高が総売上高の10%以上となる。
業態転換は売上要件のハードルが低くなっています。
【事業再編】
(例)
食料品製造会社を営んでいたが、コロナの影響で地域催事等の中止が相次ぎ、業績が悪化
↓
食料品製造事業を他社に譲渡し、新たに化粧品販売事業を開始
① 会社法上の組織再編行為(事業譲渡)を行っている。
② 製品等の新規性要件を満たしている。
③ 市場の新規性要件を満たしている。
④ 3~5年の事業計画期間終了後、新業種の売上高構成比が最も高くなる。
事業再編は組織を大幅に変革する必要があります。
最もハードルが高いと思います。
業態転換が最もハードルが低いと思います。
もちろん、新規に行いたい事業等が明確であれば、他の転換で申し込むべきですが、
3~5年後に転換した事業の売上が会社の柱になっている計画は、なかなか難しいかと思います。
応募チャンスはまだまだありますので、是非挑戦してみてください。