今回は一般消費者を顧客に持つ事業者向けのお話になります。
名古屋市名東区、牧会計事務所の佐藤です。
飲食店、理美容、物販等の事業者は、一般消費者の方からクレジットカードで代金を支払ってもらう事があります。
クレジットカード払いは便利です。
現金の管理が必要なく、ツケ払いのように回収に悩まされることもありません。
お客さんがクレジットカードで支払いをしてくれたその瞬間に、代金が現金化する事が確定します。
ただし手数料がクレジットカード会社に取られます。
現金払
お客さん(消費者) → 事業者(加盟店)
クレジット払
お客さん(消費者) → クレジット会社(信販会社) → 事業者(加盟店)
現金払いでは、お客さんと事業者に仲介者が存在しないため、もちろん手数料は発生しません。
クレジットカード払では、事業者(加盟店)がお客さん(消費者)に対して保有している売上債権(売掛金)を信販会社に譲渡し、手数料が差し引かれた金額が手に入ります。
差し引かれた手数料には消費税がかかりません(非課税)。
その理由は、商品やサービスの提供に対する売上債権はクレジットカード会社が回収するため、加盟店から見ると売上債権をクレジットカード会社に譲渡したことになり、差額である支払手数料は債権売却損の性質を持ちます。債権の譲渡は消費税がかからない取引になります。
税務署のHPには下記の図と共に説明されています。
Q.次のクレジット手数料は、課税の対象となるのでしょうか。
① 加盟店が信販会社へ支払うもの(債権譲渡の対価が安くなる部分)
② 消費者が信販会社へ支払うもの
A.
① 信販会社が加盟店から譲り受ける債権の額(100)と加盟店への支払額(90)との差額(10)は、消費税法施行令第10条第3項第8号に該当し、非課税となります。
② 消費者が信販会社に支払う手数料は、包括信用購入あっせん又は個別信用購入あっせんに係る手数料又は賦払金のうち利子に相当する額であり、非課税となります(令103九、十)。
〇ただし、手数料が非課税とならない場合もあります。
信販会社と契約している「代理店」(決済代行会社)と加盟店(事業者)が契約をしているケースの場合、
加盟店(事業者)は決済代行会社から代金を受け取ります。
この場合、クレジットカード手数料は「債権譲渡」ではなく、「システム利用料」となっている場合が多くみられます。
決済代行会社から支払いを受ける際に差し引かれる取引手数料は、売掛金の譲渡に係る手数料ではなく、事務手続きという役務提供に係るもののため、課税取引に該当します。
どちらに該当するかは、クレジット売上の明細が届いていると思いますので、
明細中の差し引かれている手数料に、消費税がかかっているかが判断のポイントになります。
支払い手数料が非課税になると消費税の計算で損をします。
ただでさえクレジット払いは手数料を引かれます。
その上手数料が非課税になるのであれば、
クレジット払いを受ける際は、追加の料金を徴収する等対策をすることも選択肢の一つかもしれません。