2021年6月17日 10:46 am

緊急事態宣言がもうじき解除される予定となっております。オリンピックの開催が既定路線となっている今、解除されてもオリンピックのためにまだ我慢が強いられる状況が続きそうです。一方で、私の周りでもワクチン接種をした方のお話をよく耳にするようになりました。第5波が起きないように、ワクチン接種の環境が早く整備されるのを願うばかりです。

お世話になっております。牧会計事務所の神尾です。

 

今回は、担当しております3月決算の会社の社長から、役員賞与のご相談をいただきましたので、役員賞与についてレポート致します。

役員報酬の規定には、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与という主に3つの役員報酬を定める規定がありますが、お手盛り防止の観点から厳しい条件が各役員報酬の規定に記されております。

さて、今回は役員賞与のお話になりますので、役員賞与について規定されている事前確定届出給与のお話をいたします。

事前確定届出給与とは、その役員につき、所定の時期に確定した額の金銭等を定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しない給与をいいます。事前確定届出給与は、原則として所定の日までに所轄税務署長への届出が必要であり、事前確定届出給与は、「事前」「確定」した「給与」の金額等を書面で「届ける」制度なので、届ける内容として①支給金額、②支給時期が確定している必要があります。つまり、「〇〇月〇〇日に〇〇円を賞与として支払いますので、損金にしてください。」とお願いするようなイメージになります。

事前確定届出給与に関する届出書を実際に見ていただくとイメージが湧きやすいかと思います。よろしければ、ご覧ください。

[手続名]事前確定届出給与に関する届出|国税庁 (nta.go.jp)

 

そこで、事前確定届出給与の注意点としては、まず、支給金額と支給時期を確定させ、その通りに支払わなければなりません。役員賞与を含めた役員報酬の金額については、定時株主総会もしくは取締役会により決定されます。ここで、例えば「7/15と12/15に100万円ずつ賞与として支給する」と定時株主総会等で決定し届け出た場合には、必ず届出通りに支給しなければなりません。これを一時的な資金繰りの都合上、50万円、150万円というかたちで支給したり、12/15を1/15に支給してしまったりすると、対象の役員の届け出た役員賞与は全額損金不算入として否認されてしまいます。やむを得ない場合の例外規定はありますが減額改定の場合が中心であり、よほどのことがない限り異なる支給をした場合には否認されますので、ご注意ください。

そして、最大の注意点としては、届出書の提出期限です。提出期限が1日でも過ぎてしまった場合には賞与として損金算入できませんので、とても重要です。

それでは、重要な提出期限とは「いつ」なのかですが、原則として次に掲げる日の中で「最も早い日」となります。

①株主総会等により、事前確定届出給与を支給する旨の定めの決議をした日から1月を経過する日

②職務の執行を開始する日から1月を経過する日

③その事業年度開始の日から4月を経過する日

これを3月決算の会社(株主総会を5/20に決議した場合)で当てはめて考えると、①5/20に決議をしているので、6/20までに届出。②通常6/1が職務執行開始日になりますので、7/1までに届出。③4月経過する日は7/31に届出となり、最も早い日は「6/20」となるので、6/20までに届け出を提出しなければなりません。

このように継続企業を前提に考えると、「株主総会等の決議日から1月を経過する日」が通常最も早い日となりますので、役員賞与を検討中の社長におかれましては、決算時までに来期の役員賞与についての相談をしていただくようお願い申し上げます。

以上が、役員賞与となる事前確定届出給与の説明となります。

ご拝読ありがとうございました。

 

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