2021年10月6日 1:39 pm

牧会計事務所 所長の牧です。

 

”町のかかりつけ医”として身近なクリニックの廃業が急増傾向にあります。

 

入院機能を有さないクリニック(無床診療所)の休廃業・解散が6月までに258件と過去最多のペースで推移してます。また、今年の1月から6月までの倒産件数は9件で、昨年の通算倒産件数に既に並んでいます。

 

このペースが続いた場合、過去最多の500件以上のクリニックが市場から退出する可能性があります。

 

これは、2020年3月以降の新型コロナウイルス感染拡大により、3密を避ける行動や医療機関でのクラスター発生などから患者の受診控えが発生しました。各クリニックは”患者が来ない”という過去に例を見ない問題が直面し、収益の大幅な悪化によるなどから閉院などに追い込まれるケースが発生しています。

 

売上高が前年度からマイナスとなったクリニックは全体の8割超を占め、減収幅も平均で2割に上りました。増収となったクリニックも1割を占めましたが、多くのクリニックで減収となりました。

 

クリニックを診療科目別にみると、耳鼻咽喉科での減収割合が88.0%と最も高く、次いで小児科や整形外科、内科などが続きました。

 

減収割合が最も高い耳鼻咽喉科や小児科などのクリニックでは、コロナ対策が徹底したことでインフルエンザなど季節性感染症や風邪の発生が例年に比べて大幅に減少したことが響きました。

 

3番目の整形外科は、学校の休校や部活動の自粛でスポーツでのケガによる受診が減ったほか、外出自粛の影響で交通事故などによる外傷での受診が減少したことも原因のひとつです。

 

内科は、高齢患者を中心に”コンビニ受診”がコロナ禍で大きく抑制されました。また、通院回数の抑制を目的に長期処方を求める患者が増加してトータルでの診療報酬の減収につながりました。

 

また、最近はクリニックの開業が相次いだことで患者の獲得競争が激化しました。クリニック経営者の高齢化に伴う事業承継者がいないことも原因になりました。

 

医師の開業志向は根強く、クリニックは今年9万7000軒となり、10年間で1万軒近く増加しました。特に、東京や大阪などの都市部を中心に開業が相次いでおり、患者の獲得競争が熾烈化しています。

 

また、クリニック経営者で最も多かった年齢は10年前が56歳だったのに対し、2021年は66歳と約10歳上昇するなど高齢化も進行しています。

 

クリニックも含めた医療業の後継者不在率は73.6%と全産業の65.1%を大きく上回っていて、経営者の高齢化と後継者問題が深刻になっています。

 

最近のニュースで、高校の高偏差値の生徒が医学部を目指さない傾向が見られるそうです。

 

ますます後継者問題が深刻になるでしょう。

 

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