もうすぐゴールデンウイークに入ります。ここ2年間、新型コロナウイルスの影響で旅行等を控えたゴールデンウイークでしたが、今年はようやく以前のような賑わいが戻ってきそうです。しかし、海外旅行や何泊かの旅行ではなく、近場での旅行が多いようです。天気があまり良くないようなので、復活を期待している観光地の賑わいに水を差して欲しくないものです。
牧会計事務所 所長の牧です。
さて、先日の最高裁判決で驚くべき判決がでました。
路線価などに基づいて算定した相続マンションについて、最高裁は4月19日、路線価額ではなく国税当局が再評価して追徴課税した処分を適法と認めました。
今回のケースは、約3億3000万円の評価で申告をされた相続財産を、国税当局が約12億7300万円と再評価をしたことが争いの発端でした。
詳細は以下の通りです。
被相続人は、2009年に借入金によりマンション2棟を約13億8700円で購入して、2012年死亡しました。相続人は、マンションを路線価額などの相続税評価額、約3億3000万円で申告をしました。国税局は、”著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する”という規定に基づき、2016年に鑑定評価により約12億7300万円として追徴課税をしたため裁判となり、今回の判決となりました。
そもそも、時価と路線価額には20%程度の差があります。前回のブログでも書いたように、土地の路線価額は公示価格の80%位に設定されています。今回のケースは時価と路線価額の乖離が著しく大きかったのが原因だと思われます。
さらに、今回の被相続人の年齢が90歳台であり、このマンションの購入は相続税を安くする目的のために行われた”相続税節税スキーム”であると国税局に判断されたのではないかと思われます。
この判決の結果により、我々税理士に取って今後の相続税申告において注意する必要が出てきました。今回は特殊のケースではありますが、判決は良い悪いは別にして結果がすべてになります。相続税の申告は、路線価額で評価すればすべて大丈夫が通用しなくなってしまいました。
例外規定の適用がされやすくなくなってしまうのです。
節税目的ではなくても、近い将来相続が発生する可能性がある高齢者が不動産を取得する場合は注意する必要が出てきました。路線価額だけではなく鑑定評価を取らなくてはいけない場合が出てくるでしょう。