梅雨の戻りも終わり、夏本番になりました。梅雨明け宣言が早すぎただけで、季節は例年通り7月の後半に梅雨が終わったみたいです。
牧会計事務所 所長の牧です。
令和元年6月に行われた法人税向け保険に係る通達改正により、過剰な解約返戻率を設定した定期保険等の販売に一定の歯止めが掛かりましたが、”払済保険を利用した節税方法が広がっているようです。
令和元年6月に行われた改正で最高解約返戻率が50%を超える定期保険等については、最高解約返戻率に応じて、支払保険料の一部を資産計上することが原則になりました。
また、法人が加入済の保険を払済保険に変更した場合、変更時の解約返戻金相当額と資産計上額の差額を益金又は損金にすることが原則ですが、同種類の払済保険へ変更した場合は、例外的に洗替処理が不要(課税されない)になりました。
洗替処理が不要となる保険の範囲について、令和元年6月改正前は、養老保険や終身保険に限られていましたが、同改正後は定期保険や第三分野保険もその範囲に追加されました。
節税スキームは以下の通りです。
①5年間で最高解約返戻率85%に達するの定期保険に加入します。(支払保険料の60%は資産計上、40%は損金計上)
②5年目で同種類の払済保険へ変更するが、洗替処理が不要で課税されない。
③保険会社は解約返戻金を運用する。
④契約者は解約返戻金が一時払保険料に充当されているため支払保険料は発生しない。
⑤15年後保険会社の運用により、最高解約返戻率が100%を超える。解約返戻金を受け取ります。この時、解約返戻金と資産計上した保険料の差額は雑収入になり課税されます。そこでその解約返戻金の一部を役員退職金に充てて雑収入と相殺して利益も相殺します。
⑥計画的に役員退職金の原資をつくるために、節税をしながら定期保険を払済保険に変更をして、解約することを目的に原資つくりが出来てしまいます。
そもそも保険を払済保険に変更する理由は、保険期間の途中で保険料の支払が困難となった場合等に、既に支払った保険料に係る解約返戻金を一時払保険料に充当して保険契約を存続させることであります。
節税をする目的ではありません。
このような手法が広まっていくと国税当局は間違いなく規制をすることでしょう。そうすると資金難で保険契約を継続させたいと思っている契約者まで規制の対象になってしまいます。
過度の節税スキームを目的として保険商品の販売はしないで欲しいと思います。