暑さはまだまだ続きそうです。体調管理に気をつけてください。
牧会計事務所 所長の牧です。
ゾンビ企業がコロナ禍以降で16.5万社になっていると報告されました。
ゾンビ企業とはどのような会社でしょうか。実質的に倒産状態であるにもかかわらず、なお営業を継続している企業で、対外的には”支払うべきものを支払わない”債務不履行の状態が続いている会社です。バランスシート上で累積損失によって債務超過の状態にある企業などが該当します。
さらには、銀行融資の返済条件を変更するリスケ企業や過剰債務を抱える非効率企業も当てはまります。
調査結果では
・2020年度は前年度比1割増の16.5万社になりました。直近10年でみると2011年度には約27.3万社に達しましたが2020年度にはそこから4割近く減少しています。ただし2019年度の約14.6万社からは1割以上増えています。
・ゾンビ企業を業種別でみると、建設業が34.3%で最も多く、次いで製造業20.0%、卸売業18.9%、サービス業10.4%と続いています。従業員別にみると5人以下の企業は構成比31.0%、6~20人の企業は36.9%となり20人以下の企業で約7割を占めています。
・企業の融資状況で、コロナ関連融資を”借りた・借りている”と回答した企業は、全体で52.6%であったのに対してゾンビ企業に限るとその割合は79.6%と8割近くが借りていて、資金繰りが厳しい状況から乗り切ろうとしています。
コロナ融資を現在借りている企業のうち9.0%が返済に不安であると回答をしています。ゾンビ企業に限ると15.5%が返済に不安を持っています。これらのことからコロナ関連融資によってゾンビ企業は助けられているとうかがえます。
リーマン・ショック、新型コロナウイルスによる政府の金融政策にもとづく銀行からの手厚い金融支援、補助金やゼロ金利政策などの緊急的な危機対応政策がゾンビ企業増加の1つの要因になって言えます。とりわけコロナ関連融資については、もともと業績が悪い企業の延命につながったといった声も聞こえています。ただし、こうした支援策を足掛かりに苦境から脱し健全化した企業も存在します。
新型コロナウイルス感染症対策、円安に伴う原油・原材料価格の高騰、ウクライナ情勢などの影響は、引き続き幅広い業種に及んでいくでしょう。それを軽減するための金融支援策が実施されることで、ゾンビ企業の延命が続くことが予想されます。コロナ関連融資などの借入金返済が始まり、金融機関の支援を受けられなくなることで行き詰る企業が表面化する可能性もあるでしょう。
ゾンビ企業という名前もいやですね。