2022年9月26日 9:00 am

9月に入り、少しずつですが暑さが和らいできました。

活動しやすい気温になり、ますます外出が増えそうです。

 

名古屋市名東区、牧会計事務所の佐藤です。

 

前回記事

で少し紹介いたしましたが、日本に住んでいる我々が、相続税や贈与税が非常に安い諸外国に移住すると

その国の税金(税率)が適用されるのでしょうか?

 

日本は相続税の最高税率が最も高い国の一つです。

 

<相続税の最高税率一覧>

日本  (55%)
韓国  (50%)
フランス(45%)
アメリカ(40%)
イギリス(40%)
スペイン(34%)
フィンランド(33%)
ドイツ (30%)
台湾  (20%)
トルコ (10%)
イタリア(8%)

中国    なし
シンガポール なし
香港    なし
マレーシア なし

これを見ると、いかに日本の相続税が高いかが分かります。

 

では、日本に住む日本人が相続税対策としてマレーシアに移住し、現地で死亡⇒相続が発生した場合を考えてみます。

この場合、相続開始前10年以内に日本に住んでいる場合には、海外居住者も日本居住者と同じように相続税が課されます。

さらに、被相続人・相続人の双方が海外移住を行わないと、相続税を回避することはできません。

 

また、被相続人・相続人の双方が海外に移住し10年が経っていても、日本国内に保持している相続財産には日本の相続税が適用されます。

 

まとめますと、日本で育った日本人が、海外移住により相続税を無税もしくは大幅に安くするには、

① 相続開始前10年以内に日本以外に居住地が無ければならない。

② 被相続人・相続人の双方が①の条件を満たす必要がある。

③ ①、②の条件が満たされていても、日本国内で保持されている相続財産には日本の相続税率が適用される。

 

以上①~③の条件が必要とされます。

現実的にはこれらのハードルは非常に高いものではないでしょうか。

 

前回記事でご紹介した例もあり、近年、諸外国を巻き込んでの租税回避の事件(裁判)は多々起こっており、

上記でご紹介した「海外移住により相続税を無税もしくは大幅に安くする方法」の条件は大幅に変化する可能性があります。

 

相続税は、「生まれついてのお金持ち」といった格差を縮小させる力を持つため、

貧富の差の是正の為には必要なものかと思います。

しかし、「令和4年度税制改正大綱」では、全体として課税強化方向での相続税・贈与税の見直しを行う方向性が強まり、今後ますます納税者側の負担が増大していくものと思われます。

 

資産家の立場からすると、

莫大な相続税を支払うくらいなら、家族で海外移住し南国で余生を楽しみたい。

そう思う人が増えていっても仕方のない流れかもしれません。

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