11月に入りネクタイをしめる季節になりました。ネクタイがなく開放的で楽でしたが、これから5月までの半年間、多少窮屈になります。
牧会計事務所 所長の牧です。
相続等で取得した一定の土地の所有権を国庫に帰属させることができる相続土地国庫帰属制度について、相続土地国庫帰属法施行令が9月29日に交付されました。同制度は令和5年4月27日に施行されます。簡単に言うと、相続した不要な土地の所有権を国に対して返すことができる制度です。
この制度を申請できるのは、相続又は遺贈によりその土地の所有権を取得した人に限られます。つまり、売買などで自ら積極的に取得した土地ついては、この制度の対象外です。土地を数人で共有している場合には、共有者の全員が共同して申請する必要があります。
対象となる土地は、通常の管理又は処分をするのに当たり、過分の費用と労力を要するものに該当しないことです。具体的には、以下のいずれにも該当していないことが要件になります。
1.建物がある土地
2.担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
3.通路など他人によって使用されている土地
4.土壌汚染対策法に規定する特定有害物質で汚染されている土地
5.境界が明らかでない土地、その他所有権の存否、帰属や範囲に争いのある土地
6.崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地
7.工作物や樹木、車両などが地上にある土地
8.除去が必要のものが地下にある土地
9.隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地
10.その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地
承認申請時に支払う審査手数料はかかりますが、今後別途政令で定めることになります。
実際に承認を受けた場合には、10年分の土地管理費用相当額の負担金の納入が必要になります。その負担額は原則20万円と定められました。管理費用には、柵や看板を設置するための費用、草刈りや巡回のための費用が含まれます。
手続きその他
1.法務局に申請書と一定の添付書類を提出し、審査手数料を支払います。
2.法務大臣が要件に見合っている土地かどうかの審査をします。要件を全て満たしていた場合は法務大臣から承認の通知がされます。
3.以下に該当する場合には、申請は却下されます。
・承認申請の権限のない人からの申請の場合
・要件に該当しない土地、申請書や添付書類、負担金に規定に違反している場合
・事実の調査に協力しない場合
4.負担金は承認通知を受けてから30日以内に納入しない場合には、承認の効力が失われるので注意が必要です。土地の所有権は、申請者が負担金を納付した時点で国庫に移転するものとされます。