2022年11月9日 7:46 pm

11月は顧問先の決算が一番多い月です。月の前半は決算に集中しています。今月が終わると今年もあとひと月になり、また慌ただしくなるでしょう。

 

牧会計事務所 所長の牧です。

 

顧問先で事業再構築の申請をしている会社が10社位になりました。事業再構築の補助金とは、新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編またはこれらの取組を通じた規模の拡大等の思い切った事業再構築に挑戦する中小企業等に補助をするものです。

 

補助率が3分の2で最大6,000万円までという金額と補助率の高さで注目されました。採択企業になるには膨大な書類を作成しなくてはならなく、採択されても申請をするのがさらに面倒くさいという問題があります。また、補助金が入金されるのがすべての投資をしてからなので資金繰りの問題も出てきています。金融機関の支援がないと進めることが出来ません。

本当に事業再構築を目指す中小企業等を応援するのであれば、制度の適用を簡便にして欲しいものです。

 

補助金や助成金のほとんどは、その収入が確定した時の事業年度に雑収入として全額益金に計上されます。事業再構築の補助金のように金額が大きくなる場合、益金計上されると全額税金の対象になる可能性があります。事業再編を目的とする補助金が、その確定事業年度に税金に費やされることは制度の趣旨と相反することから、事業再構築の補助金については圧縮記帳が認められることになりました。

 

圧縮記帳とは?

例 設備 3,000万円 耐用年数10年 再構築補助金2,000万円

1. 圧縮記帳の適用がない場合

初年度   減価償却費 300万円 補助金の益金2,000万円 利益1,700万円

2年目以降 減価償却費 300万円

 

2. 圧縮記帳の適用がある場合

初年度 (3,000万円-2,000万円)=1,000万円 10年 減価償却費 100万円 利益▲100万円

2年目以降は 減価償却費 100万円

このように圧縮記帳をすると10年間の合計の利益は同じになるのですが、適用初年度の利益がなくなります。

 

事業再構築の場合、補助金の確定がすべての設備を購入したあとになるため、設備の購入事業年度と補助金確定事業年度が異なるケースが出てきます。この場合の圧縮記帳の処理は以下のようになります。

 

1. 設備の購入事業年度

減価償却費 300万円

2. 次年度に補助金が確定した場合

①補助金の益金2,000万円

②固定資産圧縮損(3,000万円-300万円)×2,000万円/3,000万円=1,800万円

③利益①-②=200万円

減価償却費 (3,000万円-300万円)=2,700万円-1,800万円=900万円/9年で 100万円

 

 

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