新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国からの観光客が減少していましたが、最近は円安の影響もあり外国人観光客は増加傾向にあります。インバウンド需要が以前のように拡大して国内景気が良くなって欲しいものです。ところで、外国人観光客が日本に滞在中に暗号資産を売却したらどうなるのでしょうか?国内源泉所得として課税されるのでしょうか?
牧会計事務所 所長の牧です。
日本で非居住者が暗号資産を譲渡した場合は税務上どのような扱いになるか、株式の譲渡と同じで課税になるかそれとも別な扱いで日本では課税されないのか?
非居住者が得る所得のうち、わが国で課税になるのは国内源泉所得として掲げられている所得に限定されます。わが国で課税の対象になる所得は、所得税161条1項に規定される所得に限られています。以下の所得になります。
1.非居住者がわが国で恒久的施設(支店・工場など、事業を行う一定の場所)を有する場合でこの恒久的施設に帰せられる所得
2.国内にある資産の運用又は保有により生じる所得
3.国内にある資産の譲渡により生じる所得
4.組合契約事業利益の配分
5.土地の譲渡による所得
6.人的役務の提供事業の対価
7.日本国内にある不動産等の賃貸料等
8.預貯金等の利子等
9.利益の配当等
10.貸付金の利子
11.給与・人的役務の報酬等
12.工業所有権等の使用料等
13.事業の広告宣伝のための賞金
14.生命保険契約等に基づく年金等
15.定期積金の給付補てん金等
16.匿名組合契約等に基づく利益の分配
17.その他その源泉が国内にある所得
暗号資産については、それが国内にあるのかそれとも国外にあるのかについて法令上の明確な規定がありません。国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得や国内にある資産の譲渡による所得になるよう思えるのですが、暗号資産についてはその所在地がどこにあるのかについて明確な規定は設けられていません。従って、非居住者が日本国内で暗号資産を譲渡したとしても暗号資産が国内にあるのか、海外にあるのかはっきりしないのでは国内源泉所得として課税するのは大変難しくなるでしょう。
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