2023年5月17日 2:10 pm

朝は寒くて日中は夏日という気温の差がある日が続いています、体調管理には気をつけてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

牧会計事務所 所長の牧です。

 

会社を数社経営する顧問先の社長から、”自社のA社が所有する土地を自社のB社に譲渡をする場合に売却金額はいくらにすれば良いか?”という相談がありました。社長は帳簿価額で売却したい意向ですが、税務上の問題が生ずる場合があります。

 

法人は利益獲得を目的とした組織であるため、不動産の譲渡取引を含めた一つ一つの取引について、利益が出るよう行動することを前提としています。また同族会社間で不動産を譲渡する際は、譲渡価額によっては、買手又は売手のいずれかが利益を受けたり、税金負担が軽減されることがあり、同族でない会社の取引に比べ恣意性が介入しやすくなります。

 

税務上では、同族間で不動産を売買した時に時価よりも低い価額で譲渡した場合には、時価との差額は収益に計上され、同時に譲渡先に対する寄付金課税の対象にもなります。

 

このような税務上の問題が生じないためには通常の取引価額を参考に譲渡価額を決める必要があります。一般的に採用されている通常の取引価額の算定方法は以下の通りです。

① 不動産鑑定評価に基づく算定方法

② 類似する近隣の売買実例価額に基づく算定方法

③ 地価公示価格に基づく算定方法

④ 相続税評価額に1.25を乗じた算定方法

 

①の不動産鑑定士の不動産鑑定書は、第三者による客観的な根拠があり恣意性のない通常の取引価額としては説明がしやすいメリットはありますが、かなりのコストがかかるというデメリットもあります。

 

②は近隣の売買実例をもとに算定しますので、近隣の不動産会社に依頼します。依頼する不動産会社が売買実例を多く扱っているか少ないかによって通常の取引価額に差がでて信憑性をとわれる可能性があります。

 

③の地価公示価格は固定資産評価額のおおむね0.7とされています。固定資産税評価額を0.7で割り返した価額を通常の取引価額とする方法は、一定の信憑性もあり計算が簡単なメリットもあります。

 

④の相続税評価額に1.25を乗じた算定方法は③同様に簡便であり信憑性もありますが、土地の相続税評価額を路線価で算出する場合に土地の形状により評価額が変わるので税理士等の専門家に依頼する必要があります。

 

同族会社間で土地の譲渡があった場合は、取引に恣意性が介入しているものとして税務調査で調べられることになるでしょう。その譲渡価額が恣意性のない通常の取引価額であると説明ができるように、譲渡価額の算定方法、売買実例価額及び地価公示価格などを選定した理由などを整理しておくことが必要です。

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