梅雨らしく雨の日が続いています。雨は仕方ないですが、災害級の土砂降りにならないことを祈ります
牧会計事務所 所長の牧です。
新型コロナウイルスによる売上減少のための資金手当てとして、無利息の融資を受けていた企業等は借入返済が始まりつつあります。返済が始まってからの金利は、利子補給金もなくなるし、今までの金利より1%近く高くなります。そこで、金利の安い銀行のプロパー融資に乗り換えたり、さらに返済の据置ができる融資に切替えをする選択肢がでてきます。
名古屋銀行では、”めいぎんサステイナブルローン”という名称で、キャシュフローを安定化するために返済の長期かつ返済据置期間(最長3年間)を設けている融資もあります。会社の財務状況により、より良い融資を選択することになるでしょう。
2022年の12月に発表された”経営者保証改革プログラム”の適用が4月より始まりました。経営者保証とは、企業が金融機関から融資を受ける際に、代表者である経営者が法人の連帯保証人になることです。経営者保証は、担保とともに日本の中小企業における融資慣行として行われてきました。現在、約8割の企業の経営者が何らかの形で個人保証を提供しています。
これにより、万一、会社が倒産し借入の返済ができなくなった場合には、保証人である経営者には返済義務が残ることなります。経営者保証は、積極的投資を行うなどの攻めの経営が必要な時に、経営者の思い切った事業展開を抑制するマイナス面が指摘されてきました。
また、企業が経営不振に陥った場合、既存の債務を整理する時に経営者保証ゆえに経営者個人の破産を伴うために、早期の事業再生の着手が難しくなり、事業再構築のチャンスを逃す恐れがあります。結果として、倒産回避のために債務をより膨らませる悪循環に陥ることになります。
さらに倒産を回避するために退出すべき企業を結果的に守る政策が繰り返されてきたため、いわゆるゾンビ企業が増加していることにもつながっています。そこで、たとえ企業が倒産したとしても、一定の条件の下で経営者が再チャレンジしやすくなる方策のひとつとして、経営者保証の解除が重要になります。
民間金融機関の新規融資に占める経営者保証なしの融資件数比率は、2015年は15%であったものが、2022年上期には33%まで上昇しています。経営者保証に依存しない融資は着実に増加しており、今後も普及していくと思います。
新規融資をする場合には、金融機関に経営者保証なしの融資をお願いしてください。