2023年7月5日 3:25 am

7月3日、令和5年分の土地の相続税評価に使う路線価が公表されました。全国平均は前年から1・5%上回り、2年連続で上昇。新型コロナウィルスの影響からの回復傾向が明らかになりました。

愛知県内の平均変動率は前年比プラス2・6%と2年連続で上昇し、県内20税務署ごとの最高路線価は17地点で昨年を超えました。岐阜県内では平均変動率が前年比マイナス0・5%と、現在の計算方法になった10年以降、14年連続で下落しました。

 

牧会計事務所 所長の牧です。

 

タワーマンションの相続税対策が封じられることになります。

タワーマンションとは、一般的に高さ60メートル以上、20階以上の高層マンションのことをいいます。このタワーマンション、低層階と高層階では、購入価額に相当の開きがあります。しかし、床面積が同じであれば1億円で購入した部屋も、5,000万円で購入した部屋も相続税評価額は、ほとんど同じなのです。ここに目を付けて、相続発生直前に高層階を購入し、相続税の圧縮を図ろうというのが、タワーマンション節税です。

 

 

 

 

 

 

 

 

統計上、「戸建て」の場合の実勢価格と相続税評価額の乖離率の平均が「1・66倍」、つまり評価額が実勢価格の60%程度であるのですが、東京都内の築9年・43階建てのタワマンの23階の住戸は、市場価格1億1,900万円のところ、相続税評価額が3,700万円と、乖離率が3・2倍にもなっています。

以上を踏まえ、タワマン節税には、富裕層の相続税対策としてメリットが大きく、相続税の税負担に不公平が生じているという問題点が指摘されます。 すなわち、タワマンの高層階の住戸ほど、「実勢価格」と「相続税評価額」の差に乖離が生じます。

 

【マンションの相続税評価額の計算式】2024年1月1日以降

・乖離率が約1.67倍以上の場合(従来の評価額が実勢価格の60%超の場合):実勢価格×60%

 

・乖離率が約1.67倍未満の場合(従来の評価額が実勢価格の60%以下の場合):従来の評価額

 

以上の算式により、高層階のマンションのほとんどの相続税評価額は実勢価格の60%で評価されることになるでしょう。

ただ、実勢価格をどう把握するかの問題は出てきます。不動産会社に売買事例をもとに査定額を算出してもらう方法、不動産鑑定士に算出してもらう方法等色々な方法がありますが、算出にコストがかかったり、売買事例の少ない場合には算出金額に大きな隔たりが出るかもしれません。

いずれにせよ、今後はタワーマンションを使った大きな節税方法は使えなくなるでしょう。

 

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