2023年7月19日 7:58 pm

今年の梅雨明けは早くなると言いながらまだ梅雨明けはしていません。

 

 

 

 

 

 

 

牧会計事務所 所長の牧です。

 

相続の寄与分とは、相続人が被相続人の生前に、相続財産の維持や増加に貢献した部分の金額をいいます。寄与者は、寄与部分を控除した相続財産についての相続分と寄与分として認められた財産を合わせて取得することができます。

 

特別受益の制度によって利益を受けた相続人の相続分を調整する規定はあるのに、相続財産の増加等に尽力した相続人の貢献は、法定相続の場合に評価されない不公平であるという意見から、昭和55年の民法改正により寄与分という制度が導入され、相続財産からのマイナスは特別受益で、相続財産への寄与分で調整を行う構造ができました。

 

しかし、寄与分が認められるには簡単ではありません。以下の定義があります。

 

相続人の中で、被相続人の事業に関する労務の提供や財産上の給付、被相続人の療養看護等による方法で、特別の寄与を行い、その寄与によって被相続人の財産を維持又は増加させる必要があります。

 

療養看護等を行った相続人が、自分が寄与していると主張することはよくあります。しかし、寄与が認められるには”特別な寄与”であること、さらにその寄与により”財産を維持又は増加”したことが必要になります。”特別な寄与”は普通の介護とは違い、かなり高度なものが要求されています。なぜなら、家族間ではお互いに助け合う義務があるため、これを超える程度の寄与が必要とされているからです。

 

実際に介護をした相続人としては、同居をして24時間気を配り、自由に家を空けることも出来ずに介護してきたのに、何もしてこなかった兄弟たちとまったく同じ相続分であると言われれば、納得ができないと思うのは不思議ではありません。しかし、介護保険の制度が導入されてからは、より介護には公的な支援を受けることができるようになったため、より介護自体が寄与分として認められにくくなってきているようです。

 

また、寄与による財産の維持・増加についても、実際にその寄与によっていくら利益を被相続人が受けたのかを証明することは簡単ではなく、また具体的な金額に算定することも困難です。

 

介護は被相続人が最も感謝をする寄与でありながら、現在の日本では最も認められにくい寄与といえます。自分たちの生活を犠牲にして介護を行った相続人一家は、寄与が認められず、認められても僅かな金額にとどまることが多い現状です。

 

 

 

 

 

 

 

この問題を解決できるのが被相続人です。被相続人であれば、感謝の気持ちを表すために、多めの財産を残すように遺言書を書いたり、寄与してくれた相続人を受取人とする生命保険契約を準備する等とさまざまな方法で介護をしてくれた人に多くを遺すことが可能です。

元気なうちに遺言書の準備などの対策をすべきです。

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