2023年11月30日 4:38 pm

明日から12月に入ります。増々慌ただしくなりそうです。

牧会計事務所 所長の牧です。

私と同じころに開業した顧問先が結構あり、社長の年齢は60才を超えて70才近くになっています。事業承継を済ませた会社もあり、また近いうちに事業承継をする会社もあります。そこで出てくるのが退職金をいくらにするかの話です。

課税上の問題がなければ好きなだけ払えばいいのでが、不相当に高額な部分の金額は役員退職金として認められません。もうひとつの問題は、社長の権限を譲らずに社長交代をしたとして役員退職金をもらった場合です。今回はこの2点について話をします。

 

 

 

 

相当であると認められる役員退職金

具体的な算定方法として使われるのが、功績倍率法です。最終月額報酬×勤続年数×功績倍率により計算されます。税務調査等により、この功績倍率が高すぎると判断された場合には、不相当に高額な部分の金額があるとして否認されます。では、功績倍率はいくらが妥当なのか?厄介なのは、3倍は高いけど、2倍なら大丈夫という明確な基準がないのです。

功績倍率については、判例や裁判例では類似法人の功績倍率の平均値を用いる”平均功績倍率法”と類似法人の功績倍率の最高値を用いる”最高功績倍率法”が適用されています。しかし、退職金を支払う法人が、類似法人のデータを入手することは難しいので現実にはあまり使うことが出来ません。あくまで私見ですが、1.5倍から2倍の間であれば否認されることは少ないと思います。

退職の事実認定

社長が退職金を積み立てるために生命保険を掛けているケースがあります。解約返戻金を退職金に充当するのですが、何年も掛けているとその解約返戻金が最高金額を超えて減少していきます。減少する前にとりあえず退職して生命保険を解約して退職金に充当しようと考える経営者の方がいます。本当に代表の権限を移譲していれば問題はないのですが、退職前と職務内容は変わらず、法人の経営上主要な地位を維持していれば退職事実が否認されます。この場合は法人の退職金は否認され損金に算入されないだけでなく、経営者が受ける退職金は退職金ではなく賞与として高額な所得税等がかけられます。この点は充分に気をつけてください。

役員としての地位又は職務の内容が激変し事実的に退職したと同様の事情にあると認められるものの例示として、①常勤役員が非常勤役員になったこと、②取締役が監査役になったこと、③分掌変更後の報酬がおおむね50%以上減少したことなど3つの事実を挙げています。問題となるのは分掌変更後における役員の給与が50%以上減少したことを満たしているかといって課税庁が認めるとは限らないということです。

退職後の給料が50%以上減少しても”実質的に退職したと同様の事情があるかどうか”により判断されるということです。

 

 

 

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