元旦早々から北陸地方では大きな地震が起こり多くの人が災害に遭われました。
お見舞いを申し上げるとともに早期の復興を願いたいと思います。
明日は我が身です、近い将来来るであろう南海トラフ地震等に備えて生活して行きたいと感じて
おります。
牧会計の税理士の近藤です。
令和6年も既に1ヶ月が過ぎ我々の業界も2月から3月15日までは個人の確定申告時期を迎えそれを
過ぎると3月決算法人の申告が待っている時期になって行きます。
法人、個人を含め顧問先の社長から時々未回収の売掛金や貸付金の相談を受けます。
もちろん努力して回収されるのが一番いいわけですが、中にはどうしようもできない不良債権もあります。
そういう債権に対しては貸倒損失という処理ができるケースもあります。具体的に
法人税法上、貸倒損失として経理処理できるのは大きく分けて3つのケースがあります。
①金銭債権が切り捨てられた場合
次に掲げるような事実に基づいて切り捨てられた金額は、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入されます。
(1) 会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられた金額
(2) 法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられた金額
(3) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額
(1)、(2)は法的な消滅であるため会社が損金経理処理を行わなくても所得の金額の計算上、損金算入されます。
(3)は、(1)(2)と異なり、具体的な法律に基づくものでなく、債権者の行為により貸倒損失となる場合を規定しています。
そのため、処理方法によっては損金算入できないケースもありえますので注意が必要です。
また、債務超過の相当期間とは、債務超過の要因等をもとに総合的に判断しますが、一般的に、
5年程度の期間と考えられています。なお、債権放棄をする場合、無条件に貸倒損失として
損金算入が認められるのでなく、合理性がない場合は後に税務調査の時に寄附金として
扱われる可能性もありますので注意が必要です。
②金銭債権の全額が回収不能となった場合
債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、
その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができます。
ただし、担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ損金経理はできません。
この場合、会社が帳簿上で損金経理処理を行わない限り、貸倒損失として損金算入できませんので注意が必要です。
③一定期間取引停止後弁済がない場合等
次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権(貸付金等は含みません。)
について、その売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をすることができます。
(1)継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との
取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から
1年以上経過したときただし、その売掛債権について担保物のある場合は除きます。
(2)同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合
このケースでも、会社が損金経理処理を行わない限り、貸倒損失として損金算入できませんので注意が必要です。
5年、10年と時効を迎えた債権は貸倒できますかと質問された事がありますが、
時効が過ぎても売掛債権が消滅するわけではありませんので時効をすぎても請求することは出来ます。
その時、債務者が時効の援用を行ってはじめて債権が消滅します。
ただ、債権が消滅したからといって単純に貸倒損失というわけには行きません。
税法では、貸倒にいたるまでのプロセスを重要視します。
何度も請求したが払ってもらえず時効をむかえてしまった。
このような場合は、貸倒損失として認められるかと思われます。
一度だけ請求し、その後放っておいたら時効をむかえてしまった。
このような場合は、貸倒損失として処理してもその後に税務調査において寄付金として認定される可能性があります。
貸倒処理する時は慎重に行いましょう。
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