朝晩の寒暖差はありますが、昼間は暖かく桜の開花も昨年より若干早くなりそうな感じです。
過ごしやすい春が目の前に来ており嬉しい限りです。
牧会計の税理士の近藤です。
前回のブログで貸倒損失に関する内容を書きましたが、貸倒引当金との違いを聞かれた事がありました。
引当金とは将来発生するかもしれない損失を決算書に計上する事によって適正な期間損益を把握するための費用を言います。
貸倒損失は実際に倒産等により売掛金等が回収できなくなった場合に計上されるものですから、
発生するかもしれないか、発生したかの違いになってきます。
以前は賞与引当金、退職給与引当金、返品調整引当金と税務上引当金の計上が認めたれていましたが、
今は貸倒引当金のみなります。
貸倒引当金には、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の2つの計上方法があります。
個別評価金銭債権とは、要するに不良債権に設定するものであり。長期棚上げ債権、実質基準による債権、形式基準による債権の3点あります。
1.長期棚上げ債権
長期棚上げ基準とは、様々な事由により長期的に債権の回収が見込めない場合や、長期的に分割で債権を回収する場合に用いられる基準です。
長期棚上げ基準が用いられる事由とは、会社更生法や金融機関の更生手続の特例等に関する法律、民事再生法によって更生計画認可が決定された場合などが挙げられます
長期棚上げ債権の場合の、繰入限度額は、以下の計算式で計算します。
・繰入限度額=対象となる個別評価金銭債権ー特定の事由が生じた事業年度末の翌日から5年を経過するまでの弁済予定額ー取立等見込額
取立等見込額とは、質権や抵当権、信用保険等で担保されている金額のことをいいます。
2. 実質基準による債権
実質基準による債権とは、債務超過の状態が悪化したり、災害などで損失を被るなどの、実質的な事由から債権の回収が不能になっている債券のことです。
実質基準による債権の繰入限度額の計算式は以下の通りです。
・繰入限度額=対象となる個別評価金銭債権-取立ての見込みがある金額
3. 形式基準による債権
形式基準による債権とは、債務者に対して、会社更生法等による再生手続き開始の申立て、破産法による破産手続き開始の申立、民事再生法による再生手続き開始の申立てなどの一定の事情が発生した場合の債券のことです。
形式基準による債権の繰入限度額は、以下の計算式で計算をします。
繰入限度額 =(対象となる個別評価金銭債権-実質的に債権と認められない部分の金額-担保権実行による回収見込額-金融機関等により保証されている部分の金額)×50%
一括評価金銭債権は正常債権に設定されるものですが、過去の貸倒から算出した貸倒実績率若しくは法定繰入率のいずれかにより設定されるものです。
引当金の費用効果は最初の1年目だけになります。
2年目以降は設定額の金額が1年目の金額との差異が費用になったり、収益になったりしますので、引当金を設定しない場合は一年目の金額全額が収益に上がります。
不良債権がある場合はまず引当金の設定をお勧めします。
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