最低賃金の引き上げ額は新型コロナの影響で経済状況が悪化した2020年度は1円の引き上げでしたが、2021年度からは3年連続で過去最大の引き上げとなっています。過去10年でみれば、4回、過去最大の引き上げを更新して、この間に全国平均で224円引き上げられました。政府はこれまで最低賃金を1000円達成を目標としていましたが、去年、これを達成しました。
新たな目標については2030年代半ばまでに全国平均で1500円とするとしていて、6月決定した骨太の方針にはより早く達成することを目指すと明記しました。また、労働団体の連合は2035年までに時給1600円から1900円程度にするという目標を掲げていて、政府よりも高い水準を目指しています。
このようにこれからも最低賃金が上昇する予定ですが、最低賃金近くで働く人を多く雇用する中小零細企業は、賃金を支払うことでまたまた苦しくなります。以前のブログでも書きましたが、最低賃金近くで雇用している給食弁当会社や清掃会社では50円の賃上げになると毎月の人件費が約50万円、年額で約600万円増加します。もうこの原資を確保するには、弁当の単価を上げる、作業賃の単価を上げるしか方法はありません。たびたびの値上げで、得意先の中には今度値上げしたら、他の所に変わると脅され値上げが出来ないところもあります。
中小零細企業が原材料費や人件費などのコストの増加分を価格転嫁し、賃上げの原資を確保できるような仕組みづくりを並行して行なわなければ大変なことになります。