2024年8月22日 11:49 am

8月も終盤になりましたが、依然暑い日が続いています。台風もボコボコ発生してるし、ゲリラ豪雨で被害も出ています。油断が出来ない夏になりましたね。気をつけてください。

牧会計事務所 所長の牧です。

今回は、ある雑誌を読んでいて面白いコラムを見つけたので書かせていただきます。”社長の交際相手に支給された金銭”この表題をみてドキッとした方はいるのではないでしょうか?

税金の世界では、男女の個人的関係をとやかく言うことはないですが、そこにお金の不正が関わると税務署に追及されます。たとえば個人的関係の相手に”お手当”が会社から支出されれば税務上、問題になります。判決によると、問題になったのは社長Aが個人的関係にあるBに対して長年にわたり支給された金銭を会社側は給与等として損金にしていましたが、税務署はBの勤務実態がないと指摘して、Bに支給した金銭をAの給与と認定し、法人税等の増額と重加算税の処分を下しました。このケースは裁判まで持ち込まれているので、会社側は税務署と争ったことになります。

このA氏は隠すこともなく事実をすべて露出したことには驚きです。普通はこのような私的な交際相手については隠したくなると思うのですが…

税務署は必ず勤務実態を調べます。従業員にタイムカードがあれば、そのBについてもタイムカードが存在しているかは当然調べます。さらに他の従業員からBがどのような仕事をしていたか?席はどこか?いつ出勤していつ帰社しているのかを聞くでしょう。こんなことを従業員に聞かれればAとBとの関係があからさまにされてしまいますし、必ずどこかで勤務実態がないことは明らかにされてしまいます。

Bを役員にすると、少々話はかわります。役員は基本的に時間で管理されません。経営は時間で管理されるもではなく、24時間働くこともあれば1時間だけ働けば終わることもあるからです。だから役員にはタイムカードは存在しません。役員でも勤務実態がないことはありえませんが、勤務実態がないことを決めつけるのに役員の方が従業員より難しくなります。

この会社のケースでは、Bに対して雇用契約書を作成して社会保険の加入手続きを行いました。通常は従業員の新規採用に当たっては、採用通知を送付し、労働条件通知により労働条件を伝えていますが、Bについてはこのような手続きは行われず、Bは給与の額を除き、本件雇用契約書記載の労働条件を認識してなかったようです。BはAの送迎や会合へ同行はしていましたが、税務署は”交際相手であるAに対して私的に行ったもの”とされ、給与の支給については”生活費の援助の一部を会社から支給された”と結論づけました。Bに対する給与は、Aに対する役員報酬とされ定期同額給与でないため役員賞与扱いになって経費として認められなくなります。さらに裁判所は雇用関係に関する書類などを作成し、給与でないものを給与として経理処理し、損金としたことから”仮装があった”と認定して重加算税の対象にもなりました。

痛い代償です。心当たりの社長、気をつけてください。

 

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