のろのろ台風が過ぎ去りましたが、雨がよく降りましたね。うんざりするくらいの雨でした。
牧会計事務所 所長の牧です。
贈与者の”無償であげます”という意思表示に対し、受贈者が”もらいます”と応じることで贈与は成立します。つまり、贈与は”当事者双方の合意”がないと成立しません。ですから、配偶者や子供を喜ばせようと内緒で毎年贈与を続けていたとしても、税務当局はそれを認めてはくれません。贈与者が死亡してしまうと、それらはすべて相続財産としてカウントされ、相続税の課税対象になってしまいます。これらの預金を”名義預金”といいます。
相続財産のうち”現預金”は、全体の相続財産のうち約3割、”土地と建物”は約5割ですが、税務調査で発見される申告漏れ財産の約4割は”現預金”です。”土地と建物”は約1割にすぎません。それは、土地と建物の存在は固定資産台帳で管理されているので誤魔化しようがないし、その評価方法は、ある程度基準が定められているので間違いが少ないのかもしれません。我々税理士にとって、タンス預金にしてあると、その事実を隠されると分かりようがありません。それと”家族名義預金”の存在です。被相続人の預金と家族名義預金をすべて10年分くらい提出してもらい、ひとつづつ突合すればなんとかわかるのですが、その提出がないと分かりようがありません。税務署は金融機関に要請して10年分の被相続人の預金と家族名義預金の動きを照合することが可能です。そこで発見されることが多いです。
その時に問題となるのが名義預金です。親が勝手に過去につくった子供名義の預金に入金して、親がその通帳を管理している場合は贈与は認められません。必ず、子供が管理している通帳に親の通帳から振込み、贈与の意思表示をしなくてはいけません。110万円までは無税なので110万円を少し超える金額を贈与して申告・納税することもひとつの方法です。
対策
祖父母が孫名義で口座を作る場合も、普段使用している祖父母の印鑑とは違うものを使用します。もし名義人がすでに自分の印鑑を持っている場合は、それを使うとよいでしょう。たとえ印鑑を別にしていたとしても、名義人とは別の人が口座の管理を行っていると、名義預金と判断される場合があります。通帳や印鑑、キャッシュカードなどは必ず名義人が所有し、管理するようにしましょう。振り込まれたお金が貯まっているだけで一度も引き出しがない場合は疑われます。お金を引き出して使うことも必要です。
きれいに使い切ってしまえば名義預金にはならないのです。