2024年10月31日 8:31 pm

11月になり、今年もいよいよ2か月となりました。季節は相変わらずおかしいまですね。まだ半袖で過ごせる時があります、

牧会計事務所 所長の牧です。

事前確定届出給与を巡って納税者と国との間で争いがあり国側が勝訴しました。

事前確定届出給与とは、役員に対して所定の時期に決められた金額を支払うことを定め、事前に税務署に届出をすることで、損金算入することができます。役員報酬は全額が会社の損金になる従業員の給与とは違い、所定の要件を満たさなければ損金算入することができません。損金として認められる役員報酬の支払い方には、上記の事前確定届出給与以外にも、定期同額給与と業績連動給与があります。

このうち事前確定届出給与は、あらかじめ決められた金額を指定した日に支払うことを事前に税務署へ届出を行ったうえで支払われる役員報酬です。
決まった時期にまとめて支払われる、役員の賞与にあたるものです。事前確定届出給与は役員に賞与として役員報酬を支給する場合のほか、非常勤役員に対して不定期に役員報酬を支払う場合にも利用されます。

事前確定届出給与を損金とするには、所轄の税務署に事前確定届出給与に関する届出書を提出し、届出どおりの支給日に届出書類に記載した金額を支払う必要があります。届出をしていなかったり、届出どおりの支給日・金額で支払われなかったりした場合には、事前確定届出給与を損金算入することはできないため、注意が必要です。

控訴人X社は、定時株主総会で決議した代表取締役2名への賞与について、支給時期を令和2年6月30日、支給額を2,800万円と記載した各事前確定届出給与に関する届出書を所轄税務署長に提出したが、同年6月30日に各届出給与額と異なる2,500万円を支給しました。各支給給与額の事前確定届出給与該当性が争点となり、各支給額2,500万円は届出給与額2,800万円と異なることから”確定した額の金銭等を交付する旨の定めに基づいて支給する給与”に当たらないことになりました。

その結果5,000万円が全額損金不算入となりました。

この判決は当たり前と言えば当たり前の話ですが、誤ってとか忘れてとか支給時期や支給額が事前届出と異なった場合は全額損金不算入になるリスクがあることを認識しなくてはいけません。事前届出を提出する会社や関与する税理士事務所は支給時期や支給額をしっかり管理しなくてはなりません。

 

Categorised in: ,