2025年3月21日 3:34 am

いつもお世話になっております。牧会計事務所の神尾です。

ようやく今週の月曜日で確定申告期間が終わりました。業界的には確定申告お疲れさまでした、という話になりますが、世間ではこちらの話題で持ちきりでしたね。そうです、メジャーリーグが日本で開幕しました!!ドジャース対カブス戦はもちろんのこと、メジャー開幕関連の報道等で、連日大盛り上がりの日々でした。また、これから秋までは、毎朝メジャー関連(特に大谷選手)の報道を聞きながら、出社する日になりそうです。

 

先日、顧問先の役員の方がご病気から回復し退院されたことを聞きました。それに伴って、会社で当該役員に掛けていた保険の入院給付金が会社に入金されました。そして、その金額をそのまま当該役員にお渡ししたというお話をお聞きしました。

ここで、問題となります。会社が受け取った保険給付金は誰のものなんでしょうか。

 

確かに、役員の方が入院→退院という事象が発生したことから支給される保険給付金ではあるので、退院された方の保険給付金だと考えてしまうのもわかりますが、そもそも会社が掛け金を支払っていることから、支給される保険給付金も会社の収入となります。したがって、会社では雑収入として益金処理します。

 

それでは、支給された保険給付金を役員に見舞金として支給する場合にはどのように処理するのでしょうか。

会社が入院給付金を受け取った場合、入院した役員・従業員に見舞金を支払う場合があります。支払った見舞金は福利厚生費として会社で損金計上をすることになります。

ただし、次の点に注意をしなければその見舞金は役員・従業員への役員報酬(賞与)・給与とみなされることになり、さらに役員への過大な見舞金については、損金計上もできなくなるダブルパンチの可能性があるのです。

・慶弔規程の作成

支払った見舞金を福利厚生費として損金計上するためには、慶弔規定を作成しあらかじめ支給条件を定めることが必要になります。勤続年数や入院日数などで支給対象者をあらかじめ明らかにしておきます。

・社会通念上相当とされる金額

どこぞの国の首相も、お菓子やハンカチ代として10万円の商品券をお土産代として支給したことで批判を受けておりますが、見舞金の金額も社会通念上相当とされる金額以内とする必要があります。

社会通念上相当とされる金額については法人税法で決められていませんが、次の裁決事例をふまえると、上限金額は5万円が一つの基準となるようです。

平成14年6月13日裁決

【裁決事項】

病気による入退院を繰り返していた取締役会長に対し支給された見舞金の一部が役員賞与に当たるとした事例。

【裁決要旨】

審査請求人X会社(建築工事業)は、病気による入退院を繰り返していた取締役会長甲に対し、保険会社から受領した入院給付金の半額に相当する見舞金を支給しているが、同業類似法人における見舞金の支給例をみると、5万円を上限としていることが認められるので、入院1回5万円が社会通念上相当と認められる見舞金の上限と認めるのが相当であり、これを超える部分は同人に対する役員賞与と認めるべきである。なお、同人の死亡後に支給された見舞金についても、X会社の弔慰金・見舞金規定に基づき支給されたものであるから、これを退職給与の一部と認定することは相当でなく、上記と同じく入院1回5万円を超える部分は同人に対する役員賞与と認めるべきである。

 

上記の判例があることから、5万円を大きく逸脱した金額を支給してしまうと、給与加算・損金不算入というカタチになってしまう恐れがあります。しかし、昨今の物価上昇もありますので、このような状況がありましたら、一度ご相談いただけるとありがたいです。

 

ご拝読ありがとうございました。

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