
牧会計事務所 所長の牧です。
確定申告が終わると税務調査が頻繁に行われますので、我々税理士は確定申告後もゆっくりできません。税務署からの事前通知は、普段は2週間から3週間前ですが、確定申告後の調査の場合は、1か月から1月半前とかなり前にあります。それは、確定申告時の繁忙期に連絡を取ると税理士に無下に扱われる可能性があるし、確定申告後に税理士が長期に休暇を取るの抑える目的があるかもしれません。
税務調査のピークは、春の4月~6月と8月~11月の夏から秋にかけて2回あります。税務署の職員の異動が7月にあるため、春の税務調査は6月末が年度末になるため、それまでには必ず終わりたい意向があります。春の調査は”ヨロシク調査とよばれ、下準備を経てじっくりと行われる秋の調査に比べてノルマ達成を重視しているため、比較的に簡単に終わるような気がします。
事務所ではこの春に2件の税務調査が終了しました。1件は昨年の11月に調査が始まりましたが、4月初旬までの半年かかり終了しました。もう1件は4月の2日、3日に行われましたが、今週に終了しました。両件とも結果的には何もなく是認(修正すべき事項がない)で終わりました。
なぜ2件で調査期間に差が出たのかは、やはり春の税務調査と秋の税務調査の時期の差はあるでしょう。秋の税務調査は、やはりじっくり徹底的に行われるようですが、今回は調査内容の違いもありました。
長く期間がかかった調査は、社長の個人預金を徹底的に調べられました。それは、会社が支払った経費に対してキックバックが行われ、そのキックバックのお金が社長の個人口座に入金されたと疑いをかけられたためです。このような疑いをもつと税務署は、社長の個人預金を税務署権限で金融機関から取り寄せ徹底的に調べます。キックバックをした会社が東京にもかかわらず、職員が東京まで赴き取引の流れを調べました。
そうなると個人口座の入金のすべてが疑われるため内容を説明しなくてはなりません。個人の保険を解約した入金、個人の車を売った入金、株式投資をして精算した入金、個人でバックを買った物の不具合による返金、何年も前からの事項を思い出し会社とは無関係な取引であること証明をしました。
これがキックバックで、会社に入金されるものが社長個人口座に入金されたのであれば、この入金分は社長の賞与になります。役員賞与は経費ならないため会社は利益に加算され、社長の賞与分は源泉所得税が課せられます。さらにその行為は厳しく扱われ、重加算の対象になります。いわゆる”ダブル課税重加算”になります。
今回はキックバックのお金ではなく、何本かある仕事の一部をキャンセルしたための返金で、本来は会社に入金されるものが誤って社長の個人口座に入金されました。それに気づかずに決算が終わり翌期になってその入金に気づき、社長は個人口座から会社に入金をしました。調べに行った東京会社の経理がしっかりしていなく、さらに説明もいい加減だったため税務署もそれを信じて、社長に疑いをかけたようです。
結局、年度はずれましたが社長から会社に返金をした事実があったため何のお咎めもなく調査は終了しました。今回は、調査の担当者が新人であり、細かく調べてなかったこと、さらに新人教育の一環で社長の個人口座を調べたかもしれません。
社長の個人口座は調査対象になります。入金項目には気を付けてください。