2025年5月28日 9:23 am

牧会計事務所 所長の牧です。

現在、公立・私立高校とも世帯年収910万円未満の家庭には年間11万8800円の授業料支援が行われています。この金額は公立高校の授業料相当額であるため、無償化対象の家庭が公立高校に通う場合は、授業料が全額無料となっています。 一方、世帯年収590万円未満で私立高校に通う場合は、年間最大39万6000円の授業料支援が行われています。 今回の改正では、2025年度から910万円の所得制限を撤廃し、公立高校は完全無償化となります。私立高校は2026年度から支援額が39万6000円から45万7000円に引き上げられるとともに、所得制限が撤廃される予定です。

さらに2025年度から扶養する子どもが3人以上の世帯を対象に大学等の授業料・入学金が無償化される制度もスタートします。所得制限は設けられず、対象学生の学費負担が大幅に軽減されます。このように高校・大学で授業料が無償化になると教育資金一括贈与非課税制度はますますメリットがなくなり、リスクの方が増える可能性があります。

教育資金一括贈与とは、30歳未満の子や孫に対して、最大1500万円(うち学校以外の塾などのへの支払いは500万円まで)までの教育資金を、非課税で一括贈与贈与できるというものです。銀行や信託銀行で”教育資金口座”を開設して、そこから学費や塾代を引き出します。教育資金以外の用途に使用したり、使い切れない分があった場合には後日贈与税が課されるというデメリットも存在します。

高校や一部の家庭の大学での費用が無償になれば、今後1500万円を贈与したものの使い切れないで、残ったお金に贈与税がかかってしまうケースが出てくるのではないでしょうか。

わたし自身は、最初からこの制度は賛同できませんでした。最初から教育に使い切る前提で設定された制度であり。一度贈与をしてしまえば使い切らなければ残ったお金に贈与税がかかってしまいます。途中で子どもや孫の事情がかわることもあるわけで、事情が変わったとしても考慮されません。将来どうなるかなど予測がつかないのです。今回は、家庭の事情ではなく、無償化という国の制度が変わってしまいました。

子どもや孫が高校、大学に入学して、入学金や授業料が発生したその都度に資金を援助しても贈与税はかかりません。最初に一括贈与するのではなく、その都度贈与をしてあげればすむことをどうして、将来どうなるか分からないのに一括で贈与をするのかと疑問です。

お金があるうちにあげたいという親心なんでしょうかね。

Categorised in: ,