1.倒産防止共済とは
取引先が倒産して売上債権が回収できなくなったときに、自分の会社まで資金繰りが苦しくなって倒産してしまう…そのような“連鎖倒産を防ぐため”の保険のような制度になります。
2.制度の概要
この制度は1年以上事業を続けている中小企業(法人・個人事業主)が利用できます。ただし、資本金や従業員数など、いくつかの要件を満たす必要があります。
掛金月額は月5,000円から200,000円まで自由に設定できます。
年間で最大240万円まで積み立てることができ、掛金の合計が800万円になるまで積み立て可能です。
3.倒産防止共済のメリット
⑴大きな節税効果
掛金は全額を経費にできるので、利益が出ている年の税金を減らすことができます。1年分をまとめて前払いすることで最大240万円をその年の経費にできます。
さらに、毎月払いと前払いを組み合わせることで、年間で最大460万円(※)まで経費計上することも可能です。
※(計算例:11ヶ月分×毎月の掛金20万円+前納12ヶ月分×毎月の掛金20万円=合計460万円)
⑵退職金の備えにも使える
掛金は解約すると全額が戻ってくるので、経営者の退職準備金としても活用できます。
4.デメリットと注意点
⑴解約すると課税される
これまで経費に計上した掛金は、解約すると収益として課税されます。
⑵1年未満で解約すると掛金が戻らない
加入してから12ヶ月未満で解約すると、それまで支払った掛金は全額戻ってこないので気を付けたいポイントです。
⑶設立1期目の会社は加入できない
1年以上事業を行っていることが加入要件になります。そのため、会社設立1期目は加入できず、2期目以降から対象になります。
⑷解約後の再加入には制限がある
令和6年10月以降は、解約してから2年以内に再加入した場合、その掛金は経費計上ではなく、資産計上の扱いになります。
5.加入の際の注意点
決算直前の節税対策で加入する場合、決算日までに掛金を払い込む必要があります。1日でも遅れると翌期の経費になるので注意が必要です。
6.最後に
課税所得が800万円を超えると税率が一律で10%上がるため、倒産防止共済を活用することで節税効果が高まります。
倒産防止共済は、解約するときに解約金が収益になるため、いつ解約するかが重要になってきます。
もし、会社が赤字のときに解約すれば、解約金がその赤字と相殺されるので税金がかからないこともあります。
倒産防止共済は加入するだけではなく、「いつ解約するか」という出口戦略を考えることが重要になり、会社にとって一番有利になるタイミングを見極めることが大切になってきます。
Yoshida
Categorised in: 税務/会計