今週から確定申告が始まりました。1月から3月の前半までは、毎年ながら年末調整から確定申告と忙しい日々が続きます。寒いし、忙しいし晴れ晴れとした気持ちにはなれません。
牧会計事務所 所長の牧です。
令和7年はフィッシング詐欺などによる証券口座の不正アクセス・取引・乗っ取りなどが横行しました。その結果、証券口座にアクセスするのに2段階認証が必要になり、結構面倒くさくなりました。
令和7年に横行した証券口座の不正取引の特徴は、他人の口座に不正にアクセスして、勝手に株式の売買取引を行うものの、その売買取引で得た金銭は口座に残ったままになるという点にあります。不正に株式の売買取引を行うことで、特定の株式の株価を吊り上げ、不正取引を行った者が利益を得る狙いがあるようです。不正取引によりその口座から金銭が流出するといったものではないようです。
不正に取引をされた場合の処理はどうなるのでしょうか?売買が成立しているので、通常で行けば売却利益、または損失が確定してしまうのです。この場合の所得税はどうなるのでしょうか?今般の不正取引があった際の証券会社の口座保有者への補償等の対応は各社で異なるようです。
1.証券口座の不正取引が生じる前の口座の状態に戻す場合
不正取引前の状態に戻す場合は、口座は不正取引前の状態となるため、その不正取引に係る損益は生じないことになります。つまり、このケースでは、不正取引によって口座保有者に所得税の課税関係生じないことになります。
2.証券口座の不正取引が生じる前の口座に戻さない場合
この場合、通常の株式等の取引と同様に、その不正取引により口座保有者に損益が生ずることになります。そのため、所得税の課税関係も通常どおり生じて、上場株式等の譲渡所得等については原則、申告分離課税となります。
3.証券口座の不正取引が生じる前の口座に戻さない場合で補償金を支払った場合
この補償金については非課税の対象となる損害賠償金等に該当して所得税は課税されません。
4.雑損控除の適用はできるか
災害や盗難、横領により資産に損害を受けた場合には、雑損控除の適用を受けることが出来ます。不正取引前の状態に口座に戻すケースでは損害が生じておらず、不正取引前の状態に口座に戻さない場合は雑損控除の事由に該当しないため、口座保有者は雑損控除の適用を受けることができません。